2013年11月17日日曜日

おじさん


以前住んでいたベルリンに比べて自分の住んでいる町には、
物乞いの人の数はかなり少ないんですが、
それでも時々遭遇します。

この間、バスステーションでおじさんが、
「20セント」と言いながら手を出してきました。
ですがその時ちょうどバス通っていて、騒音が大きかったので、
本当は聞こえたんですが、NOというのは気が引けたので、
騒音のせいにして聞こえないふりをしていました。
そうしていると、おじさんも騒音さえクリアできれば、
お金をゲットできるかもって思ったらしく、
「20セント!」の声がだんだん大きくなってきました。
それでもまだ騒音で聞こえないふりをしていると、
最終的には「トゥエンティーー!」と
絶叫と言っていいくらいの声になってしまいました。
その勢いに押された自分はつい反射的に「NO」と言ってしまいました。
これまで(時間にするとほんの40秒くらいのもんですが)
一応騒音で聞こえないという体でこっちは演じてきたし、
向こうも本気を出し過ぎたのが恥ずかしかったのか、
なんか気まずい雰囲気が2人を包み込み、
そのままおじさんは寂しそうに去って行きました。

そのおじさんは、町のいろんな場所でよく見かけるんですが、
気まずいので、すれ違わないように注意していました。
こっちはアジア人だし歩いていると目立つので、
たぶん気づいてはいるだろうけど。
お互い知ってるけど、"知り合い"ではないので。

ところが今日の朝、角を曲がったところでそのおじさんに遭遇してしまいました。
3m先くらいから歩いてきたので、避けようもなく直進しました。
おじさんは顔色かえることなくこちらへ歩いて来て、
すれ違いさまに、ものすごく小さい声で「おはよう」と言っていました。
今日から”知り合い”になったようです。

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